不動産投資ローンと消費者金融の違い
シェアハウス運営会社のスマートデイズが破綻したことを契機に、スルガ銀行の不適切な融資が社会問題化となっています。
手元資金のないサラリーマンが1億円以上の不動産投資ローン(アパートローン)を受けていた実態が明るみになりましたが、こちらは収益不動産による賃貸経営の側面があるため、高額な融資を受けることが可能となっていました。
その点で、限度枠が50万円程度の個人向けの一般的な消費者金融とは大きな違いがあります。加えて、スルガ銀行は会社的なスタンスをとってはいるものの、地銀の優等生ともいわれる創業100年を超える老舗の「銀行」ですので、そもそも消費者金融会社でもありません。
ただし、スルガ銀行は賃貸経営を専業にしている事業主ではなく、主に上場企業などに勤める高収入の個人のサラリーマン層をターゲットにしていたため、ある意味ではサラリーマン向け金融といえるかもしれません。
一方、投資収益用の不動産ではなく、自分が居住するための一般的な住宅ローンもありますが、同じように対象は個人ではあるものの、ローンの返済の原資が賃貸収入なのか、給与収入なのかによって違いがあります。
このあたり、自分で居住しつつ賃貸として貸し出すなどのケースもあり、あいまいな部分もありますが、自分で居住する部分が建物全体の50%を下回る場合は、たとえ住宅ローンであったとしても投資用不動産ローンといえるかもしれません。
ちなみに、スルガ銀行の決算説明資料では以下のように分類されていますが、住宅ローンのほか、マンションのワンルームローンや1棟収益ローンなどの違いがあるようです。
このほか、同じ収益不動産投資向けのローンでも、個人向けの不動産投資ローンと法人向けの事業ローンの違いもあるかと思いますが、スルガ銀行の場合は主に個人向け融資に特化しているようです。
スルガ銀行については、今回のシェアハウスは社会問題とはなりましたが、全体からみた金額的としてはごく1部となっており、さらに延滞率も30%程度に留まっているようです。大幅な赤字となった引当金にて、今後どこまで実際の損失につながるのかは不透明な部分はありますが、ただちに収入が落ち込むような状況ではないのかもしれません。
いずれにしても、不動産投資ローンと消費者金融とでは、同じサラリーマン向けではあったとしても大きな違いがあるといってよいでしょう。